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ルーペの先に見えるもの
ペットボトルの中には砂に埋もれたピン。
「ワンツースリー」でペットボトルを叩くと、
ずずずずーん
埋もれていたはずのピンたちが顔を出しました。
「なんで?どうして?」
「ふしぎ!」
「どうやったの??」
「もう1回見せて!」
春から、科学や実験の活動でたくさんの「ふしぎ」に触れてきた子どもたちは
目の前で起こった「変化」を見逃さず、目を輝かせています。
今日の活動のきっかけは先生の一言から。
「この間、雪遊びをしていて、雪には結晶があるんだよって子どもたちと話していたんです。実際に見たいねって盛り上がって。雪の結晶の写真集も買ったので、子どもたちと様々な形の写真を見て楽しんでいます。」
雪遊びから雪の結晶へと発展している子どもたちの興味。
もっと広げることはできないだろうか?
けれど、雪が降っている“その時”じゃないと結晶は見られない。
しかも繊細で儚い結晶は、すぐに手のひらで溶けてしまう。
肉眼で見るのもなかなか難しい。
理科の先生や雪に詳しい人と一緒に、雪の結晶を見れたらいいな。
自然の現象を楽しみながら、雪の「ふしぎ」を教えてもらえたらいいな。
そんな想いを先生と交わして実現したのが『Dr.ナダレンジャーとの科学実験活動』。
Dr.ナダレンジャーこと納口さんは、雪崩などの自然災害を研究されている科学者さん。
今日は一時間、Dr.ナダレンジャーと雪にまつわる実験活動を楽しみます。
次々と繰り出される「ふしぎ」の数々。
雪崩の迫力を感じる実験では、迫りくるそのスピードと、巻き込まれそうになる錯覚に
「キャー!!」「おぉ!」「すごい!」
子どもたちは歓喜の声と共に大盛り上がり。
怖くて目を背ける子も、顔をしかめる子もいます。
そして実験はいつしか「雪」という枠を超え、科学の現象が散りばめられた楽しいエンターテインメントショーに。
「早く揺らすとどうしてこっちのハートは揺れないの?」
「どうしてお皿は落ちないの?」
「ほんとに風が顔に当たった!」
大人でもその原理や変化に釘付けですから、
子どもたちはなおさらです。
「僕、もう一回やりたい!」
「次、私!」
リクエストをねだる声が止みません。
そして熱気が最高潮になった今、いよいよ今日の本番。
雪の結晶を見に、外へ繰り出そう!!
・・・といきたいところでしたが、Dr.ナダレンジャーが外の様子を見てポツリ。
「ん~、どうやら難しいね。」
そうなのです。
外はあいにくの曇り空。
雪は降ってくれていませんでした。
お天気ってなんて残酷。
これでは結晶を見ることができません。
「今日は雪が降っていないから本物の結晶を見ることができないけれど、チャンスはまだあるから。今度雪が降っているときに、この布に雪をのせてルーペで覗いてみてごらん」
Dr.ナダレンジャーがルーペと黒いフェルト、そして紙で作った「結晶」をみんなに配ってくれました。
本物ではないけれど、子どもたちは満足そうな表情。
「結晶が大きくなった!」「見えるよ!」
「この形、見たことある!」
キラキラと輝く目で観察する姿は、まるで小さな科学者です。
今回の活動では事前の調べ学習をせず、目の前で繰り広げられる「ふしぎな現象」をただただ楽しみました。
「原理を子どもたちに教えてもまだ理解ができないし、自分で知りたいと思った時に教えないと意味がないんです。今日はただ、ふしぎを面白がる。それだけでいいんですよ。」
Dr.ナダレンジャーが先生との打ち合わせで教えてくれた言葉です。
たくさんの「ふしぎ」を見て感じて。
子どもたちはその先に、どんな景色を見たのかな?