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お面の下には地域の優しいまなざし
それはクリスマス前のとある日でした。
「サンタさん役、決まっちゃったんですって?」
紺野さんがポツリ。
その目は心なしか少し残念そう。
紺野さんは園の近くの駐車場で働いている方で、
いつも子どもたちの活動を見守ってくれています。
「サンタさんの役は決まったのですが、2月の節分の鬼役を探しています!
お願いすること、、できますか!?」
「鬼役!いいですよ!」
ふわぁっと紺野さんの顔がほころび、優しい笑顔に変わりました。
園では、去年から節分の日の活動を少し変え、
鬼はただ子どもたちを怖がらせるのではなく、
”豆をまかれた後は悪い鬼が改心して、子どもたちと仲良くなる”
そんな物語にして、節分をお祝いしています。
趣旨をお伝えすると、
「なるほど。そういう演出ですね。わかりました!」
「子どもたち、泣かないかな~?」
「僕、背が小さいけど大丈夫かな?」
「全身タイツみたいなの履くんだね~。」
そんなやりとりをしながら、
紺野さんが節分をとても楽しみにしてくれているのがわかりました。
2月3日の朝。
「おはようございます」
駐車場の制服を着て、眼鏡を寒さで曇らせながら、園に来てくれました。
保育士と打ち合わせし、待機している間、
少し緊張しているのが伝わってきます。
ホールに子どもたちがやってきました。
先生から節分の由来を聞き、
まずは鬼に見立てたボードに豆をぶつけるゲームをして楽しみました。
「みんな、本物の鬼は今日は来ているかな?」
先生の一言に、ザワザワザワザワ。
「あっちの部屋にいるかな?」
「え?どこ?」
「いないね」
「こっちの部屋?」
「えー、こわい」
安堵と緊張を繰り返しながら、
子どもたちの目はホール中をキョロキョロキョロキョロ。
「あーーー!」
「キャー」
「いた!!」
さぁ、赤鬼に扮した、紺野さんの登場です。
と思いきや、子どもたちの反応が早かった!
年長さんを筆頭に、次から次へと鬼に豆をぶつけます。
「おにはそとーっ!」
ホールは騒然。
「キャー」
「えいっえいっ!」
子どもたちも必死です。
「参りました~」
床に倒れこみ、鬼さんたちは降参したようです。
改心した鬼さんの「許してくれる?」に、
「いい~よ~!」と子どもたちの声。
仲良くなり、ハイタッチしながら写真を撮りました。
クラスへ戻る子どもたちを見つめる赤鬼さんの表情がとっても温かくて、
お面を被っているのに、そのまなざしが優しいのを感じます。
「あんな感じで大丈夫でしたかね??」
「子どもたち、喜んでくれたかな?」
「今日はほんとに楽しかった!」
いつもの制服姿に戻った紺野さんの柔らかな笑顔。
鬼のお面を被っていたので、子どもたちはその笑顔を見ることはできなかったけれど、
赤鬼の優しさはきっと伝わっているはず。
”子どもたちに豊かな体験を”
当園の想いに共感してくださり、鬼役をご快諾くださった紺野さん。
また一つ、地域の温かさを知りました。